大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(う)1695号 判決

被告人 土屋耕作

〔抄 録〕

論旨は原判決は判示第二として、被告人はかねて渡辺利夫から同人の中村勇に対する貸金二万円を依頼されていたが、前記日時場所において中村勇から右借金返済方を依頼されていた石塚三郎から、同人及び醍醐良、中村勇等が他から強取してきた現金二万円をその賍物であることの情を知りながら、渡辺利夫の代理人として前記貸金の返済金として受領し賍物の故買をしたと認定し、賍物故買罪に問擬しているが、右二万円を有償取得したのは渡辺利夫であつて被告人は同人の代理人として受取つたに過ぎないから、原判決は法律の解釈適用を誤つたものであると主張する。なるほど原判決が所論の事実を認定しこれに賍物故買罪の規定を適用していることは所論のとおりである。そして賍物故買罪は犯人が賍物であることを知りながらこれを有償取得することによつて成立する犯罪であるところ原判示によれば、被告人が石塚三郎より現金二万円を受取つたのは中村勇の渡辺利夫に対する債務弁済として支払うためであるというのであり、原審で取調べた証拠によると、被告人は該金員をその後千葉県印旛郡八街町八街に一二一番地渡辺利夫方で同人に対し、中村勇の同人に対する債務の返済金として支払つた事実が認められるから、右金員は結局被告人に帰属せず、また被告人はこれと対価関係にある債務を有するものでもないから、被告人がこれを有償取得したということはできない筋合である。然るにこれを賍物故買罪に問擬した原判決は法律の解釈適用を誤つたものであるが、被告人の前記所為は賍物の有償処分行為の周旋行為であるから賍物牙保罪を構成するものというべく、そして賍物故買も賍物牙保も何れも賍物に関する犯罪で同一罰条に規定され法定刑も同一であるから右の誤は結局判決に影響を及ぼさないものと認めるべきである。

(大塚 渡辺辰 江碕)

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